「嗅覚」と「寿命」

匂いと寿命の深い関係 「最近、匂いが分かりにくい…」

そんな小さな変化が、実は 寿命の予測因子 になるかもしれません。
嗅覚と生存率の関係は、
ここ10年ほどで急速に研究が進み、欧米を中心にいくつもの大規模調査が発表されています。

アメリカ・シカゴ大学(Pintoら, 2014, PLoS ONE)
米国高齢者3,005人を対象に、嗅覚テストと5年間の追跡調査を行った結果:
正常嗅覚:死亡率 10%
軽度障害:死亡率 19%
無嗅症:死亡率 39%
単純に「39÷10=約4倍」とは言えませんが、

年齢・性別・併存疾患などを統計的に調整しても、

無嗅症は死亡リスクが約3.3倍(オッズ比 3.37, 95%CI 2.04–5.57) と報告されています。
つまり、嗅覚障害は「独立した死亡予測因子」として働いていたのです。

スウェーデン・SNAC-K研究(Ruaneら, 2025, JAMA Otolaryngol Head Neck Surg)
2,524人を対象に、6年および12年間の追跡調査。

匂い同定テストの点数が1問悪化するごとに:
6年死亡リスク:+6%(HR 1.06)
12年死亡リスク:+5%(HR 1.05)
さらに「どの要因が関与するか」を解析したところ、

死亡との関連の一部は以下が媒介していました:
認知症:約23%
フレイル:約11%
栄養不良:約5%
特に「神経変性疾患による死亡(認知症・パーキンソン病など)」で関連が最も強く、

嗅覚低下が脳の変化の“初期サイン”であることを示しています。

系統的レビュー & メタ解析(Pangら, 2022, JAMA Otolaryngol)
9つの研究・21,601人をまとめた解析では、

嗅覚障害のある人は 全死亡リスクが1.52倍(95%CI 1.28–1.80)。
追跡期間が長くなるにつれ関連の強さは少しずつ弱まりますが、

それでも「嗅覚は生存率の重要な指標」であることが再確認されています。

なぜ匂いが寿命と関わるのか?
嗅覚障害そのものが“死因”になるのではありません。


匂いの低下は、全身の健康を映す「バロメーター」のような存在です。
神経変性疾患(認知症・パーキンソン病)の早期サイン
栄養不良(食欲や食事の楽しみの低下)
フレイル・老化(体力・免疫力の衰えの指標)

こうした背景因子を通じて、「寿命とつながる」ことが分かってきました。

アロマの学校での取り組み
「アロマの学校」では、香りを学ぶだけでなく、
嗅覚チェックも取り入れています。
簡易的な匂い識別テスト
自分の嗅覚の“今”を知る機会
必要に応じて専門医の受診をおすすめしています。

嗅覚は未来の健康の鏡です。

気になる方は、ぜひ一度ご自身の匂いの感覚を確認してみてください。

嗅覚障害は「見過ごされやすいサイン」ですが、

研究では寿命や健康状態を予測する大きなヒントになることが示されています。

👉 香りを楽しむことは、同時に“自分の健康状態を知る手がかり”でもあります。

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